TECHNOLOGY
技術紹介
目的
このプロジェクトは「バーチャルエコノミー拡大に向けた基盤技術・ルールの整備」の一環として、「体性感覚・聴覚インタラクションに基づく運動支援プラットフォームの構築とパーキンソン病患者の歩行障害緩和のための活用」を目的としています。
この技術の中核を成すのは「インタバース」という概念です。インタバースは以下の要素を持つと説明されています。
ユニバース(私たちの生活する実世界)とメタバース(あなたを理解する仮想空間)を接続するためのインタフェース技術。
メタバース上での様々な条件におけるシミュレーションに基づき、最適解を導出するための数値解析技術。
インタバース上に、パーキンソン病(PD)患者の神経筋骨格系を再現したデジタルツインが基軸として構築されます。これにより、歩行障害の発生機序の研究や、タイプに応じた有効な介入方法の予測が可能になります。
プラットフォームを支える
具体的な技術要素
▼

1. 歩行障害計測技術:スマートシューズ
機能:シューズに取り付けられた小型センサで、日常生活内における歩幅や足の高さなどの歩きの特徴、さらにはPD患者特有の「すくみ足」や「小刻み歩行」といった歩行障害を検出・計測します。
検出アルゴリズム:
・足部の加速度・角速度の情報をもとに、大量のデータから学習された機械学習モデルを用いて、着用者の歩行障害を検出します。デバイス特性:わずか20gの軽量設計、IPX7防水対応、8時間バッテリー持続など、日常使いに耐える設計がされています。
利用方法:センサを靴に装着して普段通り過ごすだけで、歩行のデータが収集されます。データは専用アプリで確認したり、医師やセラピストと共有することで活用されます。



2. 介入効果予測技術:神経筋骨格モデル
神経筋骨格モデルの構築:神経と筋骨格を繋ぎ合わせたモデルを構築し、人の運動制御をコンピュータ上で検証します。このモデルを基盤として、歩行障害のシミュレーションを実装します。
すくみ足シミュレーション:コンピュータ上で歩行中のすくみ足を模擬し、その緩和に向けた介入効果も試しています。シミュレーション結果は、実際に計測されたデータと比較・検証しています。
介入効果予測モデル:歩行障害モデルと介入のシミュレーションを通じて、個々の歩行障害に応じた最適な介入方法を検証します。個人の特徴に合わせた効果予測モデルの構築を目指しています。




3. 最適感覚介入技術:体性感覚・聴覚インタラクション
パーキンソン病を有する方の歩行障害には、体性感覚や聴覚への感覚刺激により症状が緩和されるという特徴があります。
体性感覚介入(アシストスーツ・人工筋肉、歩行器):
アシストスーツ(SmartAssist):人工筋肉を内蔵したアシストスーツを用いて股関節の振り上げを補助します。スマートシューズと連携することで、歩行のタイミングに合わせて人工筋肉を収縮させることができます。具体的には、足裏全体が地面につく足底接地を基準とした人工筋肉の駆動(イベント駆動)や、歩行リズムに同調するような人工筋肉の駆動(相互引き込み駆動)を実現しています。今後は、普段着感覚で着用できるアシストスーツの開発を進める予定です。
歩行器:パーキンソン病の方の歩行を支援する歩行器プロトタイプが開発されており、安価なモーターへの置換、RGB-Dカメラによる姿勢計測、歩行に応じた速度調整やリズミカルな刺激提示(片脚支持期での加速、両脚支持期での減速)といった改良・機能開発が行われています。


聴覚介入(音楽):
音楽介入システム:スマートシューズと連携して着用者の歩きに合わせて、音や音楽を再生します。音や音楽に合わせて歩くことは、楽しく快活な運動を促すだけでなく、歩行障害の緩和や歩行機能の向上につながります。
シミュレーション:上記の神経筋骨格モデルと組み合わせたシミュレーションによって、最も効果が期待される音楽・リズムを提供することを目指します。
複数の聴覚介入システム
ORPHEでは、リズム生成の方法に応じて複数の聴覚介入システムを開発しています。
システム名
駆動方式
介入内容
ORPHE DRumner
イベント駆動
足底接地時にドラム音を再生
ORPHE TempoTrack
イベント駆動
歩行テンポに応じてBPM(音楽の速さ)を動的に変化
ORPHE BeatSync
相互引き込み駆動
歩行リズムに同調する刺激音を再生

歩行支援「ORPHE DRumner(ドラムナ―)」とは
